建設業許可

2つの一式工事と27の専門工事

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「建設業の許可を取る!」といっても、建設業の許可は1つだけではありません。

まずは「自社には何の建設業許可が必要なのか!」

これを考えていきましょう。

何の建設業許可を取得するのかは、以下の3点がポイントです。

① 建設工事の種類
② 営業所はどこにあるか
③ 下請に出す工事はどの程度なのか

しかし、これから開業する、あるいは既に建設業を営んでいて初めて許可を取ろうとお考えの業者さんであれば、大抵は①だけの問題となります。

ですので、②、③についてはまた別の機会にし、今回は①の建設工事の種類に絞ってお話ししていきたいと思います。

29の建設工事の種類と建設業

建設業法上、建設工事は29に細分化されており、それぞれの工事種に応じた建設業の業種ごとに許可を受ける必要があります。

つまり、1業種だけ許可が必要な業者さんもあれば、極論29業種の全てが必要な業者さんもあるということです。

建設業の許可を取得する上で、業種の理解はとても重要です。

ではまず、その29の建設工事と、それに対応する建設業の種類の一覧をご覧ください。

建設工事の
種類
業種建設工事の内容
土木一式工事土木工事業総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事(補修、改造又は解体する工事を含む。以下同じ。)
建築一式工事建築工事業総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事
大工工事大工工事業木材の加工又は取付けにより工作物を築造し、又は工作物に木製設備を取付ける工事
左官工事左官工事業工作物に壁土、モルタル、漆くい、プラスター、繊維等をこて塗り、吹付け、又ははり付ける工事
とび・土工・コンクリート工事とび・土工工事業イ)足場の組立て、機械器具・建設資材等の重量物のクレーン等による運搬配置、鉄骨等の組立て等を行う工事
ロ)くい打ち、くい抜き及び場所打ぐいを行う工事
ハ)土砂等の掘削、盛上げ、締固め等を行う工事
ニ)コンクリートにより工作物を築造する工事
ホ)その他基礎的ないしは準備的工事
石工事石工事業石材(石材に類似のコンクリートブロック及び擬石を含む。)の加工又は積方により工作物を築造し、又は工作物に石材を取付ける工事
屋根工事屋根工事業瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事
電気工事電気工事業発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事
管工事管工事業冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事
タイル・れんが・ブロック工事タイル・れんが・ブロック工事業れんが、コンクリートブロック等により工作物を築造し、又は工作物にれんが、コンクリートブロック、タイル等を取付け、又ははり付ける工事
鋼構造物工事鋼構造物工事業形鋼、鋼板等の鋼材の加工又は組立てにより工作物を築造する工事
鉄筋工事鉄筋工事業棒鋼等の鋼材を加工し、接合し、又は組立てる工事
舗装工事舗装工事業道路等の地盤面をアスファルト、コンクリート、砂、砂利、砕石等により舗装する工事
しゅんせつ工事しゅんせつ工事業河川、港湾等の水底をしゅんせつする工事
板金工事板金工事業金属薄板等を加工して工作物に取付け、又は工作物に金属製等の付属物を取付ける工事
ガラス工事ガラス工事業工作物にガラスを加工して取付ける工事
塗装工事塗装工事業塗料、塗材等を工作物に吹付け、塗付け、又ははり付ける工事
防水工事防水工事業アスファルト、モルタル、シーリング材等によつて防水を行う工事
内装仕上工事内装仕上工事業木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事
機械器具設置工事機械器具設置工事業機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取付ける工事
熱絶縁工事熱絶縁工事業工作物又は工作物の設備を熱絶縁する工事
電気通信工事電気通信工事業有線電気通信設備、無線電気通信設備、ネットワーク設備、情報設備、放送機械設備等の電気通信設備を設置する工事
造園工事造園工事業整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化し、又は植生を復元する工事
さく井工事さく井工事業さく井機械等を用いてさく孔、さく井を行う工事又はこれらの工事に伴う揚水設備設置等を行う工事
建具工事建具工事業工作物に木製又は金属製の建具等を取付ける工事
水道施設工事水道施設工事業上水道、工業用水道等のための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事又は公共下水道若しくは流域下水道の処理設備を設置する工事
消防施設工事消防施設工事業火災警報設備、消火設備、避難設備若しくは消火活動に必要な設備を設置し、又は工作物に取付ける工事
清掃施設工事清掃施設工事業し尿処理施設又はごみ処理施設を設置する工事
解体工事解体工事業工作物の解体を行う工事
 

2つ一式工事と27の専門工事

29ある建設工事のうち、2つは一式工事、残りの27は専門工事とされています。

専門工事は、27に細分化された正にそれ専門の工事です。そのままですね。

自分のとこでやっている工事が、どの専門工事にあたるのかというのは解釈が難しい場合もありますが、言葉の意味は分かりやすいと思います。

身も蓋もない言い方をすると、今からお話する一式工事以外の工事ということになります。

では、一式工事とは何なのでしょうか?

土木一式工事と建築一式工事は他の27の専門工事とは大きく異なります。

国土交通省告示ではこのように説明されています。

総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事

ちょっと、ざっくりし過ぎて分かりにくいですね。

当事務所の地元兵庫県では、一式工事をどのように説明しているのか手引きを見てみましたが、特に何の説明もありませんでした(;’∀’)

ただ、Q&Aには建築一式工事についてだけですが、上記告示の内容に加え、

通常、新築及び増改築等の大規模工事を元請として請け負う工事が該当します。それ以外の工事は、原則として各業種の専門工事となります。

と説明されています。

ちょっと、説明が簡単ですし、土木一式については説明されていなので、他を探してみました。

兵庫県のお隣大阪府の手引きに、もうちょっと詳しい説明がありました!

土木一式工事及び建築一式工事の二つの一式工事は、他の27の専門工事と異なり、総合的な企画、指導及び調整のもとに土木工作物又は建築物を建設する工事で、原則として元請の立場で総合的なマネージメント(注文主、下請人、監督官庁、工事現場近隣等との調整や工事の進行管理等)を必要とし、かつ工事の規模、複雑性からみて総合的な企画、指導及び調整を必要とし、個別の専門的な工事として施工することが困難であると認められる工事です。

ちょっと詳しくなりましたね。

国交省の近畿地方整備局の手引きには、このようにすっきりと説明されています。

大規模又は施工内容が複雑な工事を原則として、元請業者の立場で総合的にマネージメント(企画、指導、調整等)する事業者向けの業種

これが、一番分かりやすいですかね。

一式工事は何でもできる万能な許可?

こう考えている業者さんが結構おられます。

一式工事の許可を持っているから、普段、一式工事の中で施工する工事であれば、許可が無くても請け負えると・・・。

例えば、建築一式の許可だけを持っている業者さんが、大規模な内装工事を頼まれた場合などですね。

しかし、一式工事はあくまでも総合的な企画、指導及び調整のもとに建設する工事ですので、部分的な専門工事を単独で請け負うことは出来ません。

単独の専門工事を請け負う場合は、一式工事の許可を持っている場合でも、その専門工事の許可が必要になります。

もちろん、500万円未満の工事であれば不要ですよ。

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