建設業許可

建設業許可は複雑|知事と大臣|一般と特定

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「建設業の許可を取る!」といっても、建設業の許可は1つだけではありません。

まずは「自社には何の建設業許可が必要なのか!」

これを考えていきましょう。

何の建設業許可を取得するのかは、以下の3点がポイントです。

① 建設工事の種類
② 営業所はどこにあるか
③ 下請に出す工事はどの程度なのか

という事で、①についてはココ ⇒ 「2つの一式工事と27の専門工事」でお話ししたので、今回は残りの②と③をまとめていきたいと思います。

営業所の場所次第の知事許可と大臣許可

建設業許可は営業所が1つだけなら、その営業所のある都道府県知事の許可を受けます。

新規に開業する場合は、まずこの知事許可となる場合がほとんどでしょう。

しかし、営業所が2つ以上あって、その営業所が2つ以上の都道府県に分散している場合は国土交通大臣の許可が必要になってきます。

ですから、営業所が2つ以上あったとしても、それが同じ都道府県内であれば、やはり知事許可でOKです。

建設業の営業所って何?

では、建設会社の営業所が2つ以上の都道府県にある場合は必ず大臣許可が必要になるのでしょうか?

これは、必ずしもそうではありません。

ここでいう営業所とは、本店でも支店でも営業所でも事務所でも、とにかく常時建設工事の請負契約の締結、見積もりや金銭授受などをするような事務所のことを言います。

ですから、請負契約の締結等をする場所ではない工事現場の事務所や作業所、連絡所などは営業所には該当しませんが、他の営業所に指導、監督するなどの関与をしていれば営業所とみなされます。

単なる登記上の本店がある場合などは、営業所には該当しません。

他県で500万円以上の工事を請け負うなら大臣許可?

営業所のある都道府県とは別の都道府県で500万円以上(※1)の大きな工事が受注できそうなので、至急大臣許可に変更(許可換え新規)して欲しいという相談がありました。

しかし、このような場合だと大臣許可は必要ありません。

許可を受けた都道府県でしか工事を行えないのではなく、あくまで営業所がどこにあるかが知事許可と大臣許可を分けるポイントです。

工事現場に制限はありません。

いえ、厳密には他の視点で制限が出てくることはあるのですが、その辺の話はまた別の機会に。

※1)建築一式工事の場合は1500万円以上の工事かつ延べ面積150㎡以上の木造住宅または木造住宅以外の工事

他県に支店を出すけど小さい工事しか受けないなら知事許可でOK?

得意先の建設業者さんが他県に新店を出すとのことで、「大臣許可に変更せんとあきませんね。」という話をすると、「いや、向こうではデカい工事は受けんから、それはえーわ。」と返答がありました。

このように考えており、実際、2つ以上の都道府県に営業所があっても知事許可のままの建設業者さんがあるのですが、実はこれは建設業法違反の状態で非常に危険です。

2つ以上の都道府県に営業所があって、そのうち1つの営業所でも500万円以上(※1)の工事を請けるのであれば、他の全ての営業所も許可の対象となるので、この場合は大臣許可が必要になります。

ちなみに大臣許可を持っている業者さんは全国で1万強しかなく、全許可業者数の僅か2.2%(平成31年)だけです。
出典)建設業許可業者数調査の結果について(国土交通省 土地・建設産業局 建設業課)

つまり、100社の建設業許可業者があれば、そのうち98社は知事許可ってことです。

下請に出す金額で決まる一般建設業と特定建設業

知事許可、大臣許可の別の他に、建設業許可には一般建設業許可と特定建設業許可があります。

こちらの違いは、知事許可、大臣許可の違いよりもやや複雑になりますので、しっかりお話ししたいと思います。

イメージとしては、一般よりも特定の方が大きな工事を扱う感じです。

では、その詳細を見ていきましょう。

特定許可が必要なのは元請のみ

そもそも特定建設業許可が必要になる事があるのは、発注者から直接工事を請け負う元請業者のみです。

ですから、全ての工事が下請工事である場合は、どんな工事を請け負うにしても特定建設業許可は必要ありません。

請負金額によって決まるわけではない

大きな工事を扱うといっても、特定建設業が必要な要件は一般建設業とは違い、その請負金額によって決まるものではありません。

※一般建設業の要件はコチラで ⇒ 建設業許可は必要か?

では、何によって決まるのでしょうか?

それは、下請に出す工事の金額です。

元請として受けた工事について、全ての下請工事に出す代金の合計が以下の場合に、特定建設業許可が必要になります。

● 下請に出す契約金額の合計が4,000万円以上(税込み)
● 建築一式の場合は6,000万円以上(税込み)

特定建設業は、多様化・重層化した下請構造を持つ建設業において、下請負人を保護るうことを目的としてつくられた制度ですので、下請に出す金額が4,000万円以上だとしても、その業者が元請でなければ必要ないということです。

もちろん元請として1億円の工事を請け負ったとしても、下請に出す工事が4,000万円未満であれば、やはり特定は必要ありません。

指定建設業とは?

29業種が定められた建設業のうち以下の7業種のことを言います。

● 土木工事業
● 建設工事業
● 電気工事業
● 管工事業
● 鋼構造物工事業
● 舗装工事業
● 造園工事業

この7業種は他の業種に比べ、総合的な施工技術を要すること、社会的な責任が大きいといった理由などから、特定建設業許可を受ける場合の専任技術者は要件が厳しくなり、一般建設業許可のように実務経験ではなることが出来ず、1級国家資格や技術士の資格などが必要になってきます。

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